巷では「うつ病」という言葉をよく見聞きするが、その多くは内因性うつ病ではない。
不安の増強がメインの、いわゆる現代型うつ病である。
診断名としては、適応障害やうつ状態の方が正しいように思われる。
なぜなら伝統的に臨床精神医学では、「うつ病」という用語は「メランコリー型うつ病(内因性うつ病)」を指している。原因はまったくないのが前提である。ただし病状がよくなった後に生活歴や病歴をしっかり聞くと、もちろん原因とまではいえないが、なにかしらの誘因があることがほとんどである。
(内因性)うつ病は、外来治療は不可能で、入院治療が前提となる。食べない、飲めないことが多いため、点滴治療から開始することになる。薬物療法は著効する。最近では、精神科病院でも診ることは少なくなった。
特徴としては、こころよりも身体に症状が出やすい。まったく動けない。まったく食べない。まったく眠らない。こころの症状として特徴的なのは微小妄想である。その方が人生で何を大事にしているかを反映するような妄想であり、罪業妄想、心気妄想、貧困妄想の3つである。
対照的に、「気分が落ち込む」、「やる気が出ない」、「動けない日が週に何回かある」などの訴えは現代型うつ病に特徴的なものであり、身体症状が前景の内因性うつ病とは根本的に異なるといえる。